今回新潟で起きた震度6強の地震は、「人工地震では!?」なんて声も飛び交っている。
真相は分からないが、最も懸念すべき点は、やはり南海トラフではないだろうか・・・。
「令和南海トラフ巨大地震」へ繋がる懸念

覚えているだろうか?
5月10日、宮崎県日向灘でM6.3の大きな地震が発生。
最大震度5弱を記録した。
震源が南海トラフの西端に位置することから、今回の地震がさらなる大規模地震につながる可能性を懸念する学者も少なくない。
そこで、過去の地震データを解析してみた。
結果、日向灘で地震が起きる条件について新たな発見を得ることができた。
南海トラフ巨大地震などの大災害につながる可能性も含めて以下、報告する。
日向灘で大地震が発生する条件とは!?

今回、日向灘でM6以上の地震が起きたのは実に5年ぶり。
気象庁は、
「直ちに南海トラフでの巨大地震につながるものではない」
との見解を発表。
これが(騒ぎをすぐに収束させたい)政府の意向を「忖度」したものではないか!?
と、各メディアやネット上でさまざまな憶測が飛び交った。
では、実際のところ大地震が続く可能性はあるのか?
過去((18世紀以降)に日向灘で起きた地震データを独自に調べてみた。
その際、現在エルニーニョ現象が発生中であることを踏まえ、過去の地震とともにエルニーニョまたはラニーニャ現象が起きていたかどうかも含めて調べ上げた。
[エルニーニョ]
エルニーニョとは、熱帯太平洋で見られる気候変動現象で、太平洋東部の海面水温が平年より高く、西部では低くなる。
[ラニーニャ]
ラニーニャはその逆で、太平洋の赤道付近で海面水温が低くなる現象。
では以下に、これまで日向灘で発生した地震の一覧を示す(エルニーニョまたはラニーニャ発生中に起きたものは、その旨も記している)。
日付 | 規模 | 気候変動 |
---|---|---|
1769年8月29日 | M7.0 | エルニーニョ |
1899年3月7日 | M7.1 | エルニーニョ |
1923年/11月27日 | M6.0 | – |
1929年5月22日 | M6.9 | ラニーニャ |
1931年11月2日 | M7.1 | エルニーニョ |
1939年3月20日 | M6.5 | ラニーニャ |
1941年7月20日 | M6.1 | エルニーニョ |
1941年11月19日 | M7.2 | エルニーニョ |
1942年4月13日 | M6.0 | エルニーニョ |
1942年8月22日 | M6.2 | エルニーニョ |
1961年2月27日 | M7.0 | – |
1968年4月1日 | M7.5 | ラニーニャ |
1969年4月21日 | M6.5 | エルニーニョ |
1970年7月26日 | M6.7 | ラニーニャ |
1980年8月7日 | M7.1 | – |
1984年8月7日 | M7.1 | ラニーニャ |
1987年3月18日 | M6.6 | エルニーニョ |
1996年10月19日 | M6.9 | ラニーニャ |
1996年12月3日 | M6.7 | ラニーニャ |
2014年8月29日 | M6.0 | ラニーニャ |
2019年5月10日 | M6.3 | エルニーニョ |
これを見ると、
○21件中9件がエルニーニョ期間
○21件中8件がラニーニャ期間
となる。
驚いたことに全体の80%に該当する合計17件がいずれかの期間に発生していたことになる。
これは統計的にも顕著な傾向といえるだろう。
南海トラフ巨大地震とエルニーニョ・ラニーニャ現象

これまで南海トラフ巨大地震の発生時にエルニーニョ・ラニーニャ現象が起きていたのか?
両現象の発生が記録されている16世紀以降に発生した南海トラフ巨大地震は全6件。
その前後に起きたエルニーニョ・ラニーニャ現象とともに以下に示す。
エルニーニョ/ラニーニャ発生 | 南海トラフ発生 | 名称 | マグニチュード |
---|---|---|---|
【エルニーニョ】1604年 | 1605年2月3日 | 慶長地震 | M7.9〜8 |
【エルニーニョ】1707~1709年 | 1707年10月28日 | 宝永地震 | M8.4〜8.6 |
【エルニーニョ】1852~1853年 | 1854年12月23日 | 安政東海地震 | M8.4 |
1854年12月24日 | 安政東海地震 | M8.4 | |
【ラニーニャ】1942春~1943秋 | 1944年12月7日 | 昭和東南海地震 | M7.9 |
【エルニーニョ】1946年春~1947年春 | 1946年12月21日 | 昭和南海地震 | M8.0 |
なんと6件の南海トラフ巨大地震のすべてが、エルニーニョかラニーニャ現象の発生中、あるいはその翌年に起きていたことがわかる。
これもまた顕著な傾向といえるだろう。
以上のことから言えるのは、現在のようにエルニーニョ(またはラニーニャ)現象が発生している期間は、日向灘を含む南海トラフ上での大地震に注意が必要だということにほかならない。
なぜこのような傾向が現れるのかは不明だが、そもそもエルニーニョやラニーニャの発生は地殻変動に関係しているという海外の学説もある。
南海トラフ巨大地震、まもなく

過去の南海トラフ巨大地震において、その発生前に日向灘で大きな地震が起きたケースは確かに存在する。
1944年12月7日の昭和東南海地震(M7.9)の2年前となる1942年、4月13日(M6.0)と8月22日(M6.2)の2回、日向灘で大きな地震が発生しているのだ。
黒潮の大蛇行(現在発生中)の期間に南海トラフ巨大地震が起きた前例はないという点を前述する。
現時点において、この大蛇行は少なくとも2019年の前半まで続くと予想されているため、これが終息してからが特に要注意となる。
さらに、過去の南海トラフ巨大地震はすべて7~2月にかけて発生している点も軽んじることはできない。
地震調査研究推進本部によると、今後30年間に日向灘でM7.1前後の地震が起きる確率は70~80%と極めて高い。
これまで数多くの大地震発生を予測し、的中させてきた木村政昭・琉球大学名誉教授は、自身のホームページ上で、日向灘で起きる大地震を「2014±5年、M7.5」、つまり今年中にM7.5の地震が発生すると予測している。
今回のように早々に「安全宣言」を発するなどもってのほか。
国民の命を何よりも大切に考えるならば、日向灘でM7クラスの地震が起きれば、それを「合図」として、南海トラフ巨大地震に対する防災意識を高めるように改めて呼びかけることこそが重要なのだ。